秋月の父の実家が近く、ということで、やってきました信州の鎌倉。行き方…。車の中で爆睡していたら到着したので、よく分かりません。
  場所は、長野県の真ん中辺り、上田市の南西に広がる盆地。上田駅から別所温泉まで電車が走っていてその沿線一帯を「塩田平」と言います。「信州の鎌倉」と言われるのは、このあたりに鎌倉、室町時代の文化財が多く残っているからです。
  信濃国塩田荘。ここに北条義政(義時三男重時の子)が移り住んだのは1277年。以後塩田北条氏と名乗り、幕府滅亡までの約60年間、ここが信濃の政治と文化の中心でした。秋月の好きな北条氏の名残が、こんな身近なところで見ることができるなんて! これはもう行くしかないでしょう…。
◆北向観音堂◆
本尊は千手観音菩薩。「北向」とあるように、善光寺(南向き)と向き合って建っています。この二つのご利益は一体のもので、一つを欠くと『片詣り』であるといわれているそうです。しまった、私、片詣りだわ…。
  左(←)の門をくぐって階段を降りると、お堂に向かって真っ直ぐな参道が通っています。その先のもう一つの門をくぐって階段を登ると、ど〜んとお堂が目に入ります。 思ったより人は多め。観光というか、今でも霊場として人を集めているみたいです。
  お堂(→)の右側にこの地方には珍しい大きな桂の木があります。北向観音の霊木とされているそうです。最近では、境内にある愛染堂とこの木を結んで「愛染桂」と呼ばれ、縁結びの霊木とも親しまれているそう。私には縁のない話ですが。ん? ここで何か結べば縁がやってくるということだったのか!?
  お堂の西側の崖の上に「温泉薬師瑠璃殿」と呼ばれる薬師堂があるそうです。今回は確認できず。次回(いつ?)請うご期待!
◆安楽寺◆
北向観音堂とは反対側に矢印に従って歩いて行くと、安楽寺につきます。北向観音より整理されていない感じ。門の下の階段の周りも草が無遠慮に生えてました。夏に行くと、蚊と格闘するハメになったかもしれません。
 このお寺は天長年間(824〜834年)に開かれたと伝えられています。鎌倉にある建長寺と深い関係がある禅寺として、信州で同じような位置付けがされていたお寺です。
本堂から左奥に上った山の中腹に、国宝「八角三重塔」(←左:上からと右:横から撮影)があります。全国にここしかない、八角の塔です。一番下にひさし(裳階)がついているので四重塔に見えますが、「裳階付三重塔」と言うそうです。色や形が派手という訳では決してないこの塔、それでもずっしりと堂々と立っているように見えるのは、その所為かもしれません。建築様式は「禅宗様」といわれるやり方だそうです。
 三重塔のやや下、本堂の裏手に、「伝芳堂(でんぽうどう)」というお堂があります。中には初代と二代目の住職の坐像(重文)。このような、禅僧の画や彫刻像を日本では「頂相(ちんそう)」というらしく、弟子が修行を終えて離れる時に与えることが多いそうです。だからかな。ガラスケースに入っていてカメラに収められなかったのが残念なほど、素敵な顔立ちです。両方の像の背中の内側に墨書があって、1329(嘉歴4)年に造られたと書いてあるそうです。そう、幕府滅亡の4年前。まだ「鎌倉時代」が存在していた頃からここにあったんですよ。何だかそれだけで萌え〜な私。三重塔もこれと同じ時期に建てられたと考えられているそうなので、改めて塔をうっとりと眺めました。
◆常楽寺◆
  安楽寺を出て、山すそに沿って歩くと、常楽寺。この二寺に、北向観音の桂のあたりに建っていたらしい長楽寺を合わせて「別所三楽寺」と呼ばれていたそうです。常楽寺は安楽寺と同じ天長年間に慈覚大師によって開かれ、その後北条氏や海野氏が建て直したといわれています。今回行った時は、本堂は修理中でした。ブルーシートの間から見える本堂は萱葺き屋根。床の隙間から草が生えていて、ここも明治以降の憂き目に遭っているんだなあ、と悲しくなってきました。
 本堂を横目にぐるっとまわった奥に、重文「石造多宝塔」(→真ん中の塔)があります。薄暗い木立の中、背中がひんやりするところです。それもそのはず。隣にある説明書きによると、ここは825(天長2)年に火焔の中から観音が現れた場所なんだそうです。その時は木造の宝塔を建てたものの、寿永年間(1182〜84年)に焼失してしまったので、1262(弘長2)年に当時の住職が一切経を納める納経塔として石塔を建立した、と軸石四面に刻まれた銘文にあるそうです。両側に寄り添っているのは石造多層塔(市文)。この付近の水道工事中にたくさん発見された多宝塔、五輪塔、宝キョウ印塔の内、散逸した先が分かった二つだそうです。形やバランスから鎌倉時代の作と言われています。そうだといいな。
 右の写真、多宝塔の上の方、相輪が切れてますね…。
◆つれづれなるままに…◆
 自分が読むものや見るものに「鎌倉時代」とあるだけで幸せな気分になれてしまう秋月です。北条氏に関係したところ、と聞いただけで舞い上がり気味だったんですが。前もって予習して行ったにも関わらず、見落としまくりでした…。せっかく叔母さんに資料まで頂いたのに(トホッ)
 でも、日本の真ん中の信州塩田で、北条氏が治めて庇護したお寺を実際に目にできて嬉しかったです。こういう形で北条氏に出会えるのって幸せなことだと思うんです。800年の時を経て触れられるんですから。また行ってあの頃からの空気を吸ってきたいです。
資料:「信州の鎌倉 塩田平をたずねて」

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